
| 項目 | 備考 |
| モデル | ジャガールクルト メモボックス |
| Ref. | E875 |
| Cal. | 916 |
| 色 | 文字盤 シルバー |
| 素材 | SS |
| サイズ | 36mm(リューズ除く) |
| 年式 | 75年製 |
| 革 | 革ベルト 社外品 |
| OH | 済み(2008年2月) |
| 日差 | 1分内 |
| 仕上処理 | 済み |
| 付属品 | なし |
| 防水性能 | 日常生活防水 |
| 在庫 | 現品のみ |

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Shimizu
info@doppel.biz

上品なこの時計、作ったのはジャガー・ルクルト(=以下JL)というマニュファクチュールです。例によって、今回のアイテムをご紹介する前に、この老舗メゾンの位置づけ・ご紹介をしたいと思います。
ご紹介にあたり「機械式腕時計初心者の方々への分かりやすい説明」をモットーとしておりますので、表現上ややクドクなったり、比喩が突飛だったりしますことご了承下さい。

皆さんはジャガー・ルクルトという名前を聞いたときにどのようなイメージが思い浮かびますか。ちょっと腕時計に詳しい人なら、とにかく実力派マニュファクチュールである、という印象を持ってらっしゃるかと思います。確かにWEB情報をざっと見ただけでも、バシュロン・カルティエ・IWCといった一流メゾンにムーブメントを供給していることが分かります。
そして、ムーブ提供で鍛えられたその実力を遺憾なく発揮して第一次大戦後に自社の腕時計を発表していきます。スイス政府贈答品となる永久機関の置き時計「アトモス」やポロ競技用に開発された「レベルソ」はあまりにも有名ですね。

現在JLはリシュモングループに属しています。以前の記事で業界をざっくりと把握するために腕時計のグループを日本の戦国大名になぞらえてご紹介しました。リシュモングループは業界二番手徳川家、各メゾンは実力派揃いの徳川家臣団といっていいでしょう。徳川十六神将などと言われその綺羅星には賞賛が集まります。ではJLを徳川家臣団に見つけるとしたら誰になるのでしょうか。

圧倒的なマニュファクチュールとしての実力を考えると、「井伊の赤備え」で精鋭部隊をまとめる井伊直政あたりが当てはまるのかも知れません。バシュロン、オーデマなど自国はおろか他国の有名領主にも認められる実力者(=ムーブの提供者)、それがジャガー・ルクルトなんですね。

今回のアイテム、メモボックスmemovoxは第二次大戦後1950年にJLから発表されました。日本語ではメモボックスと表記するのが一般的ですが、正しくはメモヴォックスmemovox(=voice of memory, 記憶の振動)となります。1947年にヴァルカンが発表した世界初のアラーム機能付き腕時計はクリケット(=cricket,コオロギ)という名前ですから、それに対抗してより人間らしい音を再現した、といった矜恃があるのかも知れませんね。

ではその「記憶の振動」は、どうやって創り出されるのでしょうか。

三時方面上部にもう一つリュウズがありますよね。これを手巻きすることで約10秒振動分のパワーが蓄えられます。リュウズを引いて時計とは反対回りでアラームの時刻を合わせます。そのままリュウズを引いておくと鳴らないようにしておくことも可能です。この手巻きの機構が時計の自動巻ムーブとは独立して動きます。リュウズを押して設定した時間になると裏蓋から伸びている支柱をハンマーが打ち鳴らすんですね。想像もできないくらい複雑な機構が50年以上前に開発されたわけです。

JLは1946年に自動巻ムーブメントのキャリバー476を設計していたのですが、半回転ローターで巻き上げ効率が悪かったようです。その後開発が進められ、このメモボックスには全回転のローターが採用されてます。これが現行品の防水機能付きマスター・コンプレッサー・メモボックスへと続きます。
つまり、この全回転ローターの完成度が1950年当時から非常に高く、そのまま現行品へと引き継がれているわけですね。現行キャリバーの始祖ともいうべきモデルなんです。
そんな歴史を持つメモボックスがdoppeL専門時計師により、きっちりいい状態に仕上がって来ました。
このメモボックスが奏でる音。一度聴いてみたくなりませんか。
いわゆるデジタル時計の無機質なアラーム音とは全く違い、機械式腕時計ならではの「味わい深い音」、それが「記憶の振動」なんですね。腕にはめているとき、はめていないとき、の音色が違います。また経年変化もありますから一つとして同じ音(=振動)は鳴りません。
ところで、日本人が記憶している声=振動と言えばやはり、この句が思い浮かぶことでしょう。
静けさや岩にしみいる蝉の声 ---松尾芭蕉

携帯電話の奇っ怪な電子音や、デジタル時計の無粋なアラーム音で世の中は充ち満ちていますが、今一度繊細だった先達の耳を取り戻しませんか。自分の腕にすり込まれる記憶の音をメモボックスとともに。
| 【定価】 | アンティークにより不問 |
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