SEIKO セイコー 天文台クロノメーター

2009年02月28日

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項目 備考
モデル SEIKO天文台クロノメーター
Ref. 4520-8020
Cal. 4520 VFA 6姿勢差調整
文字盤 シルバー
素材 18K
サイズ 約35mm(リューズ除く)
年式 1970年製
革ベルト オリジナル尾錠付き
OH 済み
日差 5秒内
仕上処理 なし
付属品 BOX、取扱説明書なし
防水性能 生活防水 約3気圧
在庫 現品一本のみ




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Shimizu
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今回のアイテム「天文台クロノメーター」は世界に誇る我が日本の精密機器メーカーセイコーの製品です。
天文台クロノメーターそのものの紹介に行く前に、まずは機械式腕時計の魅力について、そして世界におけるSEIKOの評価を解説いたします(これは特選時計のテーマである「初心者の方にもやさしい」お話の展開方法です。常連の方、腕時計に詳しい方も気長に最後までお付き合いいただけるとうれしいです。)
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みなさん、SEIKOの時計ときいてどんなイメージを思い浮かべますか?おそらく、オジサンがしている地味な国産時計、ぐらいの認識が一般的でしょう。ちょっと詳しい人は、最近のグランドセイコーやGalanteのデザインの洗練さを指摘して、国際市場でそこそこがんばっている時計メーカーぐらいの評価をしていらっしゃる方もいると思います。
それが実は過小評価です。SEIKOの国際的評価、腕時計分野における国外好事家間での評判は非常に高いモノがあります。こう言ってしまうのもナンですが、Rolexの国内評価がその実力に比べて異常に高いのと反比例しています。
ひとえにマーケティングの巧さの違いでしょう。1969年のセイコーショック以降安いデジタル時計を量産してきた会社、高度成長期に活躍したグレースーツのおじさん達がこぞって嵌めているクオーツ時計を製造してる会社、というイメージをぬぐい切れていないのです。
一般の人々はブランドイメージに左右されるという怖さを物語っていますね。機械式腕時計に限って言えば、実力があるのにいまいち認知度の低いメゾンがあります。IWCやSEIKOがその代表ではないでしょうか。doppeLでは、若干無理があるものの漫画や日本の戦国絵巻になぞらえて各メゾンの立ち位置を決めて紹介しています。SEIKOのポジションは、ドラえもん登場人物でいったら「できすぎ君」に、戦国武将で言ったら真田幸村に一票投じたいところです。
1.クールな立ち振る舞いが身上である。
2.高度な技術に裏打ちされた真の実力を持っている。
2.その実力の割に一般的な評価が低い。
こんな人、けっこうクラスにいましたね。クールさがやや鼻につくものの実力があるからイジメの対象にはならない。かといってクラスになじんでいるわけではない。なにやら独自の価値観をもって「取り澄ましている」という佇まいです。
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さて、真田幸村には大阪冬の陣で真田丸という出城を築き、徳川方を散々に悩ませたという逸話が残っています。SEIKOにとっての真田丸、それが今回紹介するアイテム「天文台クロノメーター」に他なりません。
時は1960年代、スイス・ニューシャテルの天文台で毎年コンクールが催されていました。テーマは「時計の究極の精度を追求し、そのランク付けを行う」というもの。一般的なクロノメーターの検定には約15日間が費やされますが、この天文台クロノメーター’astronomical observatory chronometer’の認定を受けるには、設置位置や温度変化など厳しいテストを45日間も受けなくてはいけません。エントリーするほとんどの時計が不合格となる中、セイコー社の時計は毎年着実にランキングを上げていきました。
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事件が起こったのは1967年のことでした。セイコーは四度目の挑戦となります。通称「タマゴ」と呼ばれる楕円形のムーブを搭載した時計を天文台に託し、期待と不安の中測定結果およびランキング発表を待っていたのです。そこに舞い込む一枚の書状。中身はこんな感じだったそうです。
「本年度はランキング発表を中止し、腕時計部門は休止する。(中略)…後日測定データのみ送付する。」
これでは一体なんのことか不明ですが、後に送られてきた測定データを見るとさもありなん。腕時計部門において、セイコーは2位(第二精工舎)と4位?8位(諏訪精工舎)を独占していたのです。
1968年には100個のムーブをエントリーし、73個が厳しいテストに合格しました。そしてなんと、その73個のムーブを搭載したグランド・セイコーが1969年10月に販売されて「しまった」のです。当時の価格で18万でした。「しまった」と表現したのにはわけがあります。通常「天文台クロノメーター」の検定に合格した時計はその合格証明書とともに永久保存されるのが常識だったからです。実際競技的要素の強いコンクールであるため、その「天文台クロノメーター」を冠した時計を販売したのはジラール・ペルゴとウォルサムくらいで、その価格も当時の販売価格では戸建てが購入できるほどだったとのことです。
つまり、二点においてセイコーは世界の度肝を抜いたと言えるのです。
1.精度だけを求めればよかった時計のコンクールにおいて、「天文台クロノメーター」のムーブに実用性をも加味していた。つまり大概のメゾンは45日の測定期間のみ持ちこたえればよい、という発想・設計で臨んでいたのに対して、セイコーは最初から実用性を考慮していた。
2.それを実際販売「しちまった」。もう一度繰り返しますが価格はなんと18万円。これは現在の価格としては50万?100万ぐらいにはなるのでしょうが、戸建てが買えるというレベルではありませんよね。つまり破格の値段だったということです。
1970年には45GSのハイビートムーブを6姿勢差調整し、天文台を超えるムーブを153 個制作し、VFA(=very fine adjusted’高水準調整済”の略)仕様の天文台クロノメーターを販売しています。今回のアイテムはこの後期153個の内のひとつなのです。
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ちなみに、その後セイコーは天文台コンクールへの参加は止めてしまいました。そしてコンクールそのものも70年代のクオーツショックにより閉鎖されてしまいました(95年再開)。現在セイコーはグランド・セイコー規格を持っており、クロノメーター規格を上回る高精度な基準を保持しています。
さて、ここまで書いたところでSEIKOの立ち位置の「空気読めない感」が伝わってくるのではないかと思います。勤勉聡明で胡瓜のようにクール。そして高い技術も持ち合わせている。
しかし、そこで真田幸村のお父さん、真田昌幸が息子に語ったというお話が思い出されますね。時代は関ヶ原の後、幽閉された真田親子は九度山で燻っていました。やがて家康が不穏な動きを見せ始め、最後の戦乱がやって来ようとしたときのことです。話が世間を向こうに回しての戦略戦術に及んだとき、昌幸は幸村にこう伝えたそうです。
「ワシが采配をふるえば、狸家康を一網打尽にできる戦略がある。そちはワシより数段頭の冴えを見せておるやも知れぬが、そちの采配では世間は踊らん。一度ならず家康を退けたという実績がないからじゃ。よってその戦略を語ってもよいが絵に描いた餅の域を出んじゃろう」と。
やがて昌幸は失意の中病没、幸村はご存じのように大阪夏の陣にて戦国の華となり散っていったのでした。つまり言いたいのはこういうことです。
SEIKOは努力家で実力も十分備えている。しかし、それだけでは「顧客は踊らない」。
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様々な文章でお伝えしていますが、機械式腕時計の魅力とは資産価値が目減りにくい、もしくはプレミアが付く可能性がある、というところです。現在中古市場で一番人気があるのはRolexということになりますが、この人気の秘密はなんでしょう。もちろん様々要因はありますが、大きな要因としては一目で分かる一貫したデザインが挙げられます。
「あ、ロレックス。いい時計してるね。」という評価が一定水準で期待できる。これが大きいのです。なぜならもともと機械式腕時計は嗜好品ですから、周りの評価が伴わなければ裾野広く受け入れてもらいにくいものなのです。
これはイイ悪いではありません。人間心理として有無を言わさず、それを身につけていると高級感を演出できるアイテムは「人気がある=売れる」という図式が成り立つということが言いたいのです。もちろんこれは真の実力とは違います。しかし、実力必ずしも人気に繋がらないというのはどの分野でもありますよね。
ではSEIKOの弱みとはなんでしょうか。上記の昌幸の独白ではありませんが、やはりこれぞSEIKOというキラーアイテムに欠ける、一貫したシリーズ性の欠如という点が挙げられるでしょう。今回の天文台クロノメーターにしても発表と同時にクオーツの世界でも「アストロン」を投入しています。
がむしゃらに欧米に追いつけ追い越せの精神でやってきた。山の樵のようにこつこつ勤勉に技術を磨いてきたからこそ、総花的な印象、もしくは悪い場合には安いクオーツの量産メーカーのように見られてしまうのでしょう。
Galante, Credorといった一流ブランドをどれだけ育てていけるのか。ヒゲゼンマイや歯車といった部品から組み立てまで一貫して行える真のマニュファクチュールとしての矜持、スプリングドライブに代表される超絶技術の更なる洗練。
SEIKOの21世紀に期待しましょう。幸村を有名にした真田丸、天文台クロノメーターをその腕に眺めながら。

【定価】 アンティークにより不問
【販売価格】 メールもしくはお電話にて

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「実用性まで考慮して造られた超絶精度を忍びながら・・・・」
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